SPACETIDE

スポンサーインタビュー2024 三井住友海上火災保険株式会社

INTERVIEW

2024-7-9

インタビュイー
楠井 英里佳様 :三井住友海上火災保険株式会社 企業マーケット戦略部 宇宙開発チーム(写真左)
久保田 美沙子様 :三井住友海上火災保険株式会社 企業マーケット戦略部 宇宙開発チーム(写真右)

現在の活動内容

―現在の活動内容について教えてください。

久保田:私たちの宇宙への取組は1975年にN1ロケットできく1号を打ち上げた時に宇宙保険を提供したことから始まりました。加えて昨今の宇宙産業拡大に伴うさまざまなミッションに対応するため、2023年には宇宙産業に対応する専門部署を新設(現:宇宙開発チーム)しました。宇宙開発チームは宇宙に関連する保険提供を主軸としつつ、産業の活性化のためリスクマネジメントやビジネスマッチング等の宇宙事業者向け総合支援サービスも提供することで宇宙業界の発展に貢献しています。

保険会社が宇宙産業に果たす役割

―宇宙産業にとって保険会社にはどのような役割が求められると思いますか。

久保田:保険を提供することにより、事業者が安心して難易度の高いミッションに挑戦できる環境を整えることだと考えています。

楠井:加えて保険以外にも幅広いサポートを提供することも重要な役割だと言えます。
特にスタートアップ企業の場合、今すぐ宇宙保険が必要になる会社は稀で「打上げは数年後を予定しているため、保険検討をする時期はもう少し先になる」との声を聞くことが多い状況です。
そのため保険契約をするまでの間は、それ以外の課題を解決するようなサポートが求められています。弊社の幅広いネットワークを活かしたビジネスマッチングやリスクマネジメントなども提供しています。

―高難易度ミッションの多い宇宙産業において保険会社の難しさはどのようなところでしょうか。

久保田:リスクマネジメントの考え方では、リスクの対応方法として事故の発生頻度と影響度合いによって「保有」「移転」「低減」「回避」の4つに分けられます。宇宙産業の場合は「打上げ失敗や衛星の運用中の不具合といった事故に該当する事業の発生頻度は他の産業と比して高く、発生したときの事業へのインパクトも大きい」です。
一般的にそのような場合はリスクを回避し、それが困難な場合は事業撤退も検討しますが、宇宙産業自体がリスクを完全に回避することが困難な事業となるため、他産業と比べると保険引受の難易度が格段に高くなります。

久保田:宇宙保険を扱っている保険会社は世界でも30~40社程度ですし、ここ数年は世界で宇宙保険の事故が多く収支が赤字となり、宇宙保険マーケットから撤退している会社も出てきているなどビジネス環境としては決して良い状況とは言えません。

―なぜ難易度が高いと分かっていながらも宇宙事業を続けるのでしょうか。

久保田:宇宙が産業として成長していくには、チャレンジを支える社会インフラとして、保険の役割は非常に重要です。いくら難易度が高くても誰もリスクを取らなければ、発展し続けることは難しくなってしまうので、私たちがリスクを取ることで産業を支えられる存在になりたいと考えています。
もちろん保険をかけるだけではなく、リスクマネジメントをすることで問題の発生頻度を少なくする取り組みも保険会社として重要なミッションです。包括的な支援やリスクテイクを含めて、私たちは宇宙産業と一蓮托生していると言えるかもしれません。
宇宙産業への挑戦を支えたいと熱く語る久保田様

―さまざまなサポートをする中で特に気をつけていることはありますか。

楠井:非常にシンプルなのですが、ひとつひとつのサポートに魂を込めるくらい気持ちを込めて取り組むことだと思います。私が保険業界に就職をした理由は「人の挑戦を支えられる人になりたい」と思ったからです。大学時代にラクロス部のマネージャーをしていたのですが、同じ作業でもひとつひとつの行動に魂を込めるくらい考え、工夫を凝らしたところが試合結果にも影響しているということに気づきました。
宇宙産業も非常に難易度の高いミッションに多くの人が熱意を持って取り組んでいます。私もそんな開拓者の皆さんに少しでもお役に立てるように徹底的に考えてサポートをしていきたいと考えています!

楠井:これまでは宇宙開発チームは営業部門に所属していましたが、今期から本社部門に配置転換されました。これは当チームを中心に、弊社全国の支店を巻き込みながら、 「宇宙産業を発展させる」ということを改めてゴールに設定したことを表しています。私としても産業の発展に寄与するために、皆様とのさまざまな可能性についてディスカッションや支援をすることで盛り上げていきたいと思います。

宇宙産業の課題とチャンス

―現在の宇宙業界における課題はどのようなところにあると思いますか。

久保田:私は入社してからずっと宇宙マーケットに携わっているのですが、業界の課題として宇宙に興味はあるが参入障壁が高く、何をしたらよいか分からないといった声、収益を上げるポイントや事業のKPIが分からないといった声を聞くことが多いです。

楠井:衛星データを利用する技術が難しいと感じています。衛星データを直接お客さまに渡しても使えないですし、そのために解析会社がありますが、その場合もデータのフォーマットが統一されていないこともありデータ利活用にはまだまだ課題が沢山残っているように感じます。
現在は海外や日本の事例を調べながらどのような方向で進めれば利活用が進むのかといった観点で事業者の皆様とは対話をしています。

―チャンスはどのようなところにあると思いますか。

久保田:「宇宙」をキーワードとして地場産業の活性化や地方創生に繋げる事ができると考えています。北は北海道から南は九州・沖縄まで宇宙を活用して地域を盛り上げていこうと熱意を持って取り組む方がたくさんおり、実際に各地域の宇宙スタートアップの数は増加しており、弊社も様々な支援をしています。
中には衛星データ利活用等の取組みに注力している地域もあります。弊社としてもそういった地域の活動を支援することで地方創生に貢献をしていきたいと考えています。

SPCETIDEに協賛した理由

―SPACETIDEに協賛いただいた理由を教えてください。

久保田:SPACETIDEはグローバルな展開だけでなく、日本全国の地域に寄り添った活動をしている印象があります。弊社としても地域の活動の支援をしていきたいので方向性があっていると感じたからです。

楠井:久保田と重なる部分があるのですが、やはり地域とのつながりが強いところだと私も考えています。「宇宙ビジネス」の潮流を作っているSPACETIDEと一緒に活動をすることで、自治体の方やスタートアップの人にも「三井住友海上が真剣に宇宙を盛り上げようとしている」ことが伝わるのではないかと考えています。

楠井:私が今宇宙開発チームに所属しているのも、実はSPACETIDEが影響しています。
宇宙ビジネスへ興味を持ったのはYouTubeで宇宙ビジネスを取り上げている番組を視聴したことがきっかけでした。そこから情報収集をしていたのですが昨年に広告経由でSPACETIDEのことを知りました。
SPACETIDEのWebサイトを見て、いてもたってもいられなくなり、有給休暇を取得して私費で当時の住まいの神戸から東京のSPACETIDEのカンファレンスに参加しました。その後社内公募制度を経て、念願の宇宙開発チームの一員となりました。
昨年私費で神戸からSPACETIDEへ参加し、社内公募にて宇宙開発チームにジョインした楠井様

今後の展望

―最後に皆様に対してメッセージをお願いします。

楠井:将来的にはすべての地域で宇宙が当たり前に関わるような大きな産業にしていきたいと考えています。
現在は東京に宇宙開発チームを構えていますが、自動車保険や火災保険と同じように宇宙保険が一般的な保険になるような状態にしていきたいと思います。
その日を迎えるためには、私たちも宇宙保険の営業をしているだけではなく、検討段階のサービスや開発段階のプロジェクトにも深く関与し、一緒に事業計画を作るところから支援するような、前のめりで積極的なサポートを提供したいと思います。

久保田:宇宙を軸に地域の活性化につながるような状態になればいいなと考えています。
家族や友人と話すと「宇宙ってビジネスになるの?」という声がまだまだ多いように感じます。その考えを変えるような大きな産業にしたいです。
地域産業が中核となってさまざまな取り組みを行うことで、それが産業になり最終的には全員に「宇宙はビジネスのフィールド」と思ってもらえること。そして「私も宇宙に携わってみたいな」と感じてもらえるような取り組みを進めていきたいです。
弊社の会社名を聞くと「保険会社」というイメージが強いと思いますが、それだけではないということをぜひ覚えていただけたらと思います。
プロジェクトの初期段階からご相談をいただければ、こちらから多くの情報を提供することもできますし、さまざまなサポート体制を整えているので、ぜひ「ビジネスパートナー」として覚えていただきたいです。

久保田:企業を経営する上での人事・労務等の一般的な相談やリスクアセスメント、地域や企業とのネットワーク等、さまざまな支援をすることができます。これまで以上に多様な取組を皆様と共に進めていけると思いますので、ぜひお気軽にお声がけください。

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